・距 離:111.2km
・駅 数:56
・開 業:1908年2月15日
・全 通:1926年9月10日
・起 点 駅:大阪湊町
・終 点 駅:宍粟山崎
・線 路:複々線(北春日出〜阪神尼崎)、複線(それ以外)
関西鉄道に於ける大阪側のターミナル、湊町を起点に、宝塚や三田、加西、福崎などと言った播磨の主要な街を結び、播磨地方の西の端・宍粟までを結ぶ、播阪随一の基幹路線。姫路線との直通によって、大阪・姫路間のインターアーバンとしての役割も担っている。
また、宝塚や宍粟、東条湖などへの行楽路線としての役割も担っており、終日利用が多い。
大阪都心側において、日中は、基本的には普通6本、急行6本、特急3本の運行となっている。これらのうち、普通の全列車、急行の2本、特急の1本は梅田線からの直通列車である。さらに、特急1本と急行の2本は、洛海電気鉄道線からの直通列車である(つま。湊町に発着する列車は、1時間あたり、後述の4本、急行の2本、特急の1本、あわせて7本であり、いささかさみしい)。では、大阪湊町〜北春日出(播州本線と梅田線の合流地点)間の輸送はどうなっているのかご存知だろうか。実は、北春日出〜阪神尼崎間の複々線区間を有効活用し、大阪湊町〜阪神尼崎間の区間急行を時間6本(うち2本は、洛海線から直通する)運行しているのである。冒頭文の「基本的には」という言葉は、この例外があるからこそ存在している。この区間急行の停車駅は、大阪湊町〜北春日出間の各駅と、阪神尼崎である。こうすることによって、なるべく乗車できるチャンスを揃えようとしている。
電車の本数は、阪神尼崎、播電三田、播電高岡、福崎西野の4駅で段階的に増減する。阪神尼崎については先程の通りなので省略する。播電三田は、普通列車のうちの3本が起終点としており、この駅では、後続の急行或いは特急と接続する。播州高岡では、急行列車の4本、特急列車の1本が姫路線に直通するため播州本線を離脱している。福崎西野では、残った普通の全列車が起終点としている。故に、大阪湊町或いは梅田から宍粟山崎まで走破する列車は、急行2本、特急2本の合計4本となる。大阪湊町を起点とする普通については長くても福崎西野止まりだが、優等種別は播美急行鉄道に直通し、急行は佐用、特急は津山大手町まで向かう。なお、普通列車については福崎西野〜津山大手町間のワンマン列車も毎時1本ほど運行されている。
朝夕のラッシュ時間帯は、普通列車の運行が時間8本(5本が梅田発着、3本が大阪湊町発着)、区間急行が8本(洛海から5本が直通)、急行列車が時間8本、特急列車が時間4本運行されるようになるが、ここで目立つのが通勤種別(通勤特急、通勤急行など)が設定されていないということである。種別を増やして、様々な駅で乗車出来るようにするのも賢明な判断と言えばそうなるのだが、種別を矢鱈に増やした場合、利用客が困惑するおそれがある。そのため、あえてそのような種別を設定せずに、日中と同じ停車駅の列車の本数を増やす事で、ラッシュ時間帯の需要に応えている。だが、ダイヤ詰まりが頻発するらしく、それが課題である。
播阪について語る上で、大阪湊町の存在を忘れてはならないだろう。地上ホームは5面4線、地下ホームは2面4線で、これは播阪では最も大きい。だが、阪急の大阪梅田駅や南海のなんば駅などと比べれば劣るうえ、地上ホームに発着する列車は毎時7本とかなり淋しい。
一方地下ホームには、播阪・洛海間の直通列車のほか、洛海の折り返し列車も発着するため、発車シーンなどは大変見応えがあるようだ。
また、現在でこそ、関西私鉄では「大阪梅田」「京都河原町」「神戸三宮」(「神戸新開地」)のように、駅名の前に都市名を冠するケースがあるが、戦前からそのような駅名を採用しているのが、この播阪の大阪湊町である。類似ケースとして近鉄の「大阪阿部野橋」(大阪天王寺)駅が挙げられるが、戦前期からこの形態の駅名であるのは、この2駅くらいである。
播阪のターミナル駅といえば、大阪湊町、或いは梅田であるが、その両駅から出た鉄路が合流する地点こそが、この北春日出駅である。そのため、駅の規模は3面6線であり、線路数だけで見れば、大阪湊町駅と変わらない。そのため、ダイヤ上、この北春日出駅はかなり重要なものとなっている。しかし、定期列車では、普通・区間急行しか停車せず、目立たない。
関西には、他社線の社名を冠している駅が2つ存在する。1つが阪急今津線の阪神国道駅、もう一つがこの阪神尼崎駅である。
この駅は、もともと「尼崎」として開業する予定であったが、当駅開業前の1889年から、川辺馬車鉄道(→摂津鉄道→阪鶴鉄道→国鉄)の尼ケ崎駅が存在しており、当駅が単に「尼崎」として開業した場合は、混乱を招く恐れがあった。そのため、当鉄道は「阪神尼崎」を名乗っているとされている(これは最も有力とされている説だが、憶測の域を出ない)
駅の規模は、北春日出と同じく3面6線である。当駅は複々線区間の末端であるため、運行上の拠点となっている。特に、洛海からの直通列車の大半が、当駅を終点とする。
播電三田は、開業時の起点駅であり、その歴史は100年以上もある。現在は単なる途中駅であるが、それでも運行上の役割は大きく、当駅を起終点とする普通列車も毎時3本程度運行される。